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2019/4/20(土)10:00~12:00 植物の生存戦略 森林環境教育事業マーク

日付 2019/4/20(土)10:00~12:00
講座名 タンポポと春の植物みっけ
講師 岐阜県立森林文化アカデミー教授 柳沢直

 美濃市にある岐阜県森林文化アカデミーの柳沢直教授に、春の野に咲く草花の代表でもあるタンポポやその他の植物について、教えてもらいました。

タンポポを見たことのない人はほとんどいないと思いますが、どんな植物なのかを詳しく知っているかというと、首をかしげる人も多いのではないでしょうか。

【タンポポとはどんな植物?】
まず、自然体験塾棟内でタンポポの基礎知識を学びました。

 

・タンポポとタンポポによく似た花のこと
・ひとつに見えるタンポポの花だけれど、実はたくさんの小さな花が集まっていること
・もともと日本にある在来種(主に、がくのように見える緑の部分が上向き)と、ヨーロッパから持ち込まれた外来種(主に、がくのように見える緑の部分が反り返る)があること
・在来種は春に咲くが、外来種は季節を問わず花を咲かせること
などです。明治時代にセイヨウタンポポが野菜として北海道に持ち込まれた、という話には、皆びっくりでした。

【春の花の観察タイム】
 基礎知識を得たところで、いよいよ観察です。
 外に出るとすぐに、スミレとカタバミの花が目につきました。さっそく、花の形の違いの説明です。

 どちらも虫に花粉を運んでもらう繁殖方法をとっていますが、カタバミの花はどんな虫でも止まりやすい形なのに対して、スミレの花の形は少し複雑で、蜜を吸いに来る虫を選びます。その分、花粉を運ぶ虫の種類は少なくなりますが、それらは、次にも同じ種類の花に行く可能性が高く、花粉を運んでもらう効率は上がるのだそうです。そのほか、タンポポだけではなく、ヘビイチゴの花やカラスノエンドウ、カキドオシなど、すぐ足もとの植物についてたくさんのことを知ることができました。参加者からの素朴な疑問にひとつひとつ丁寧に答えてくれるので、あっという間に時間が経ってしまいました。

【タンポポの背比べ調査】
 最後に、3班にわかれて遺産の森のタンポポを調査しました。①駐車場そばの街路樹の下 ②フィールドの芝生 ③管理棟裏の林の中 です。

 見つけたタンポポを、三つの環境でそれぞれ在来種と外来種に分け、花の背の高さをものさしで測っていきました。その結果、芝生や街路樹の下には外来種が見られましたが、林の中にはまったくないことがわかりました。芝生と街路樹の下では、芝生の方が外来種の割合が多いこともわかりました。

「これはセイヨウタンポポが、何回も草刈りされる明るい場所が得意だからではないでしょうか。在来種のタンポポは、春にだけ咲いて、背をのばし、種を飛ばします。一方で、外来種のタンポポは、次から次へと花を咲かせ、種を飛ばします。林の下はこれからの季節、上の木々が葉を茂らせてくるので暗くなります。けれど芝生広場は手入れがされていて年中明るいので、一年中花をつけている外来種のタンポポにとってはうれしい環境なのだと思います」(柳沢先生談)。

 また、在来のタンポポでは花の高さは③の林の中が最も高く、②の芝生で最も低いことがわかりました。①の街路樹の下はその中間でした。タンポポのまわりの植物の高さもこの順番ですから、タンポポは花が埋もれて目立たないのは困るので、周りの植物の高さに合わせて花の高さを決めているのかもしれません。

 タンポポもスミレもカタバミも、それぞれの戦略(ストラテジー)で子孫を残しているのだなあ、と、小学2年生の参加者も感じることができたようでした。

※この講座の様子は各務原市の市民カメラマンである、鷲主玲子さん富田博道さんにより取材され、市のホームページでも紹介されています。また、このレポートに掲載した写真の一部はお二人によるものを使用しています。
※市のウェブマガジン「カルトピ」6月号でも、この講座についてレポートしますので、ご覧ください。

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